
続けたくなるマンション投資
スーパーは、問屋の介在による流通コストを削減して価格を引き下げるという「流通革命」で、世の中に広く受け入れられました。
しかし、1970年代になると、品揃えを拡大し、総合スーパー(GMS)として大型化の道をたどり始めます。
この頃から、大手スーパーの間では、店舗不動産を所有するか、賃借するかで方針・が分かれてきていたのですが、その違いにより各社の経営にその後どのような影響が出たのかは、詳しく検証します。
総合スーパー(GMS) は、当初、駅前の大型店舗という立地が主流でした。
ところが、1990年ごろになると、車での来店を前提とした郊外型の大型店舗が増加します。
そして、2000年を過ぎると、さらに巨大化して、GMSを核とした専門店群という組み合わせのショッピングセンターが次々に開発されるようになりました。
先に例示した」Rが取得したショッピングセンターは、この形態のものです。
最近では、核となるGMSを持たずに有力な専門店だけを組み合わせて集客を狙う大型ショッピングモールも出てきています。
巨大化し褐雑化したショッピングセンターは、一社で開発資金を投入して保有するにはリスクが非常に大きいものになっています。
ショッピングセンターの開発は、かつてのGMSの店舗開発部が行う固有の仕事ではなくなり、金融マーケットの投資資金を使ってデベロッパーがプロデユースする事業へと変容しています。
ショッピングセンターは、大型化している一方で、将来においてその立地が安定的である保証はありません。
人口減少は購買力全体のパイを縮小させます。
現在のショッピングセンターは、休日に家族で、自動車に乗って来店し、親から子まで消費を楽しめるように企画されていますが、高齢世帯、単身世帯が増えると、このような立地の店には顧客が来なくなるかもしれません。
格差社会の出現が問題視されていますが、世帯年収等の格差が広がると消費も二極化し、顧客層や商品のターゲットが絞れなくなります。
すべてが現実化するとはかぎりませんが、どれも届舗立地に変化を及ぼす問題です。
小売業は、「売れるモノ」を「売れる場所」で売ることが必要ですが、ショッピングセンターに関しては、売れなくなっても簡単に場所を変えることができません。
小売業者は「売れるモノ」の開発と発掘に専念し、「売れる場所」などの投資資金がカバーする時代に移行してきているのです。
2006年9月、札幌市中心部、赤レンガ庁舎の愛称で親しまれる北海道庁旧本庁舎の付近で、地上22階、延床約10万m'の大別ビル「日本生命札幌ビル」が竣工しました。
北日本最大級となる大型オフィスビルの登場でしたが、面積の大きさに加え、募集賃料が市内の相場の倍の水準で設定されたこともあり、建築期間中には、テナン卜誘致を危ぶむ声がかなり出ていました。
しかしながら、結局は竣工前に8割のテナントが決まってしまいました。
特徴的だったのは金融系のコールセンターの入居が相次いだことです。
コールセンターは、企業の顧客への電話対応を専門的に行う部署で、「カスタマーセンター」「サポートセンタ-」という名称でも呼ばれています。
セールスやアンケー卜などの営業目的の発信(アウトバウンド)を行う機能と、顧客からの注文や質問・クレームを受ける機能(インバウンド)があります。
従来から金融機関、製造業、小売業、サービス業といった|幅広い業種で取り入れられてはいたのですが、最近のIT技術の進歩によって、その機能は大きな進化を遂げ、企業経営戦時にとっての重要度が噌しています。
過去における単なる「問合せ窓口」の機能とは異なり、データベースと直結することにより、問い合わせてきた顧客と顧客データの連動が瞬時に可能になり、迅速でキメ細やかな対応が可能になりました。
これにより顧客の満足度を高めることができると同時に、顧客の問い合わせ内容がデータベースに蓄積されるため、サービスの改善や新商品開発のための分析も容易に行えるようになりました。
そして、通信技術の発達により、コールセンターの物理的制約が取り払われ昔のように、距離に比例した通信コストがかかっていた時代は、消費地から離れてコールセンターを設置することは困難でした。
しかし、現在はIP通信網の発達などで、距離による通信の制約は取り払われました。
コールセンターは1カ所設置すれば全国どこからでもアクセスできるのです。
また、集約して運営することにより24時間体制の運営も可能になり、顧客の利便性を一層高めることにもなりました。
これに目をつけたのが地方自治体です。
産業の空洞化が進む地方において、雇用を増大させるため、北は北海道から南は沖縄県まで多くの自治体が、コールセンターの誘致に熱心で、あり、各種助成金や固定資産税の減免制度などを充実させています。
Nの調べでは、2006年3月現在、コールセンター誘致に助成制度を設けている自治体は30道県あり、コールセンタ一事業者は250を超えて今でも増え続けています。
地方でのコールセンター設置は、当初は、方言と標準語の違いなどを心配する向きもあったようですが、特に若い人材は教育による適応が早く、障害にはならないと今では認識されています。
このように、コールセンターは企業戦略上重要な部門であるにもかかわらず、ITや通信技術の発達により、その立地は物理的な制約からほとんど解放されています。
事業施設を不動産と見たときに、従来からの不動産としての常識を覆すものです。
それは国内の範囲にとどまりません。
コンピューターメーカーのデル社は、中国の大連にコールセンターを持っています。
日本で、D社のパソコンを購入した顧客がテクニカルサポートに電話すると、電話に出るのは、日本語が話せる現地の社員です。
言葉に若干の不自然さを感じはしますが、ユーザーは、知らなければ自分の電話が中国につながっているとは想像できないでしょう。
コールセンターは国内の地方で運営できるということすらも、遠くない将来に過去の常識となってしまうかもしれません。
物流施設、商業底舗、コールセンターと、立地が大きく変化している事業施設について見てきました。
これらの施設および不動産は、過去の常識では、一度開設してしまえば長期的に利用を続けるものでした。
また、賃借の選択の余地が少なかったために、多くの場合は、自前で保有することが必要でした。
しかし、その常識は大きく変わりました。
IT革命によって、施設の場所が本社や製造地、消費地との物理的関係に縛られなくなりました。
コールセンターのように国外に飛び出してしまうこともできるようになりました。
そうかと思うと、環境問題は従来になく企業に対して責任を問うようになり、事業施設の展開に新たな制約が加わってきています。
事業用不動産を固定化することにより次の展開の足かせになるリスクは高まるばかりです。
一方で、、不動産証券化の発展により、過去には投資対象となりにくいとされた事業施設が投資物件となり、企業にとっては、資金負担や保有リスクを負わずに賃借できる幅が広がりました。
変化の激しい時代に、どのように不動産を活用していくのか。
世の中の変化に対応できる不動産戦略が求められています。
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